第177章 成、しゃべる
「おじっ、おばっ」
それは突然だった。
特に父親に戦国に戻るのを反対されている状況で、それでも準備をしている葉月は会わせられなくなる成を、よく両親に託して遊んでもらっていた。
そんな中、「ほげほげ」しか話さなかった成が言葉らしきものを口にしたのだ。
朝ごはんを食べさせていた時、成は赤ん坊用のスプーンを手に持って、ばんばんテーブルを叩いて「ごはん早く」と旺盛な食欲を両親に見せ、両親はそんな孫を目尻を下げて見ていたところ、いきなり成は「おじっ」「おばっ」と両親を呼んだのだ。
「おいっ、今、何て言った!?」
「まぁ、成ちゃん…」
両親は絶句し、にこにこしている成を見、成は手のスプーンをごんごん打ち付けながら、またも「おじっ」「おばっ」と二人を見て叫んだのだ。
「成がじじと呼んだぞ!」
「成ちゃんがばばと呼んだわ!」
両親はまたも舞い上がり、慌ててビデオとカメラを自室へ取りに行き、急いでビデオを回し始めた。
「成ちゃーん、じじとばばと呼んで?」
話し掛けられる成はにこにこして、出された粥をスプーンで運び、口の回りを汚しながらも「おじっ」「おばっ」と呼んで両親を喜ばせる。
「まぁぁぁ、何て可愛いの!」
「こんな可愛い子は他には居ないだろう!」