第176章 プロポウズの返事
「さぁ、どうなんだろう?でも俺の不足な部分を弥生さんが埋めてくれるだろう?弥生さんにしても反対だよ。弥生さんの不足な部分は俺が埋めるからさ」
「あらあら、ずいぶんかっこいい事、言ってくれるコト?」
弥生が肩をすくめると、富谷の手元に置いているスマホがぶるぶると震えた。
「あ、急患みたいだ。戻らないと」
「病院まで送るわね」
「頼む」
さっと二人は立ち上がり、富谷はテーブル番号の書かれた札を持ってレジへ先に向かい会計を済ませる。
「ちょっと富谷くん、お会計…」
弥生が慌てて財布を取り出そうとするものの、富谷は振り返って言う。
「俺のタクシー代わりだよ」
「…わかった。ごちそうさま」
二人で車に乗り込みシートベルトをし、アクセルを踏み込み車を発進させると富谷が言った。
「結婚の事、両親に話すから一度両親に会ってもらうと思う。その前に俺が弥生さんの両親に会いに行かなくちゃならないけれど、都合の良い日を後で知らせるから」
「うん、わかった」
急きょ動き出した自分の結婚話しに、急展開だなと内心苦笑するものの、富谷ならいろいろな意味で結婚相手には問題無く、自分の人生の転換を迎えたのかしら、とこの変化を楽しむ心境にもなってきていた弥生だった。