第175章 弥生の結婚?
突然の告白に驚く葉月は思わず声を荒げる。
「けっ…!おね…そ、れっ…」
「しーっ!だからまだ誰にも言ってないし、私もどうしようと思っているくらいなの」
唇の前に人差し指をあてて、静かにしなさい、と言う弥生に葉月は驚きの表情を見せたまま言う。
「…もしかして、相手の人ってあの、富谷さん?」
問われて弥生は頷く。
「それしか相手、居ないわよ。まぁ…私が結婚してこどもが出来れば、おとうさん達も成の代わりになるかわからないけれど、孫がとにかくいれば少しは落ち着くかなと思ってね」
「それって…好きでもないのに私の為に結婚するの?」
眉を寄せる葉月に弥生は慌てる。
「あぁ、違うから。好きとか嫌いとか、そういう感情は正直まだ無いけれど、学生の時から知っていて一緒に居て落ち着くし、それに…はっきり言うと、富谷くんからはプロポーズされてるんだよね」
「おっ…おねえ、ちゃん…そう、だった、の…?」
驚きのあまり、まともに声の出せない葉月を見て、弥生は照れたような表情を見せる。
「ま、相手は医者だからね、私を受け入れてくれるかはわからないけれど、おかあさんも富谷くん家のクリニックに通ってるらしいよ」
「へぇ…そうなんだ。でも、おねえちゃん、本当に…いいの?」
驚きながらも葉月は戸惑うように聞く。
「好きかどうかもわからないのに、結婚するかもしれない、なんて…」