第175章 弥生の結婚?
母親から消極的であるものの理解を得られた葉月は、時渡りの為の準備を始める。
と言っても持って行けるものは限られている。
「電化製品は駄目だしおもちゃもプラスチックだから駄目だし…」
葉月が部屋でごそごそしているのを見掛けた弥生が、呆れたように部屋の入口から声を掛ける。
「薬よ、薬をいっぱい持っていきなさい」
言われてハタと葉月は気付く。
「あ、そうか。それ、必要だね。ええと、風邪薬、胃薬、皮膚かぶれの薬と絆創膏も持って行こう。あとハンドクリーム。あと何が必要かな?」
「便秘薬でも持って行ったら?」
からかうように弥生が言い、葉月は鼻にしわを寄せる。
「ん、もう、おねえちゃん、からかいは無しだよ。真面目に荷造りしているんだから」
「あら、私は真面目に答えているんだけど?それと成は?」
手早く持って行く薬をメモ書きした葉月は、弥生に顔を向けて答える。
「成はおとうさんとおかあさんのところ。少しでも長く二人に会わせてあげないとね…おとうさんは相変わらず反対しているけれど、私は絶対戦国に戻るから」
「…あのね、葉月に、というか誰にも言ってないんだけど…」
途端歯切れの悪い言い方をし出した弥生は、声を小さくして葉月に近付いて言った。
「成の代わりが出来るかわからないけれど、いつかは諦めはつくと思うよ、おとうさん達。あのね…もしかしたら、私、結婚するかもしれないからさ…」