第171章 ほんとうのこと
「絶対二人はどこにも行かせない」
両親の強い眼差しに、弥生と葉月は無言で成を連れて部屋へ戻る。
「…おねえちゃん…」
「せっかく富谷くんが調べてくれた日にちなんだし、帰れるようにしてあげる。あんたは戻る準備をこっそりしておきなさい」
「うん、ありがとう、おねえちゃん」
「ノープロブレム。ずっと親に反抗しないで育ってきたあんたが、初めてと言っていいくらい今になって反抗している。だからこそ本気なんだなって思うし、その本気を戦国に戻ってから、後世の私達に見せてごらんよ?」
「うん、ありがとう、おねえちゃん」
葉月は涙声で弥生に礼を言う。
「泣かないよ。成が不安に思うから。泣く暇あったら、おとうさん達を説得出来るまで、話し合わないとならないからね」
「うん…おとうさん達に何度でも話して、わかってもらわないとならないね」
「それにしても、反対は絶対するとは思っていたけれど、あそこまで駄目だとは思わなかったね」
弥生は肩をすくめる。
「気軽に戻れるところじゃないもんね、何せ時を超えた恋なんだもん」
葉月はそして気付いて、やけに静かに抱っこされている成の顔を覗き込む。
「あれ、寝てる」
成は葉月の腕を掴んだまま、涙を残して眠ってしまっていた。