第22章 剣道形
秀吉の御殿へ道着や木刀を取りに戻り、ついでにいつもの着物も持ってくる。
一室を借り、現代から一緒に飛んできた剣道着と袴に着替える。
かんざしを抜き、ばさりと落ちた長い髪は後ろでポニーテールに結ぶ。
木刀と小太刀(こたち)の二本を持ち、部屋の外へ出て、裸足で庭に出る。
場所を決めて木刀と小太刀を置く。
深呼吸をひとつ。
「打太刀(うちたち)より始めます」
そう言って居並ぶ武将様がたに礼をする。
立ち位置に戻り、木刀を取り上げる。
打太刀一本目の所作は、諸手左上段に構える。
左足から進ませ、仕太刀(したち)との間合いを接し、右足を踏み出し、正面を打つ。
相手はいないけれど、間合いをとる。
相対的距離感を持って測るように。
―剣道形1本目は間合いの攻防を知るもの。
すべては鍛錬して結実させた所作。
七本行い、小太刀に変えて、三本やったところで打太刀は終了。
一度礼をし、次は仕太刀(したち)をやることを伝え、打太刀の反対側に立つ。
息を整える。