第171章 ほんとうのこと
「それならおとうさんとおかあさんにも言わないといけないよ」
弥生の声に成を遊ばせていた手を止めて、葉月は弥生を見る。
弥生の浮かない表情に気付いて成を下すと、もう終わり?と言った表情を成が一瞬するが、それでも解放されたのも嬉しいのか、ほげほげ言いながらハイハイでうろうろし出す。
その姿を見て葉月は弥生に言う。
「言わなきゃ駄目なのかな…やっぱり」
「いきなり二人が消えたら大騒ぎだよ。今の二人を見ていたらわかるでしょ」
「うん…成の事、溺愛しているもん…」
葉月も弥生と同様な表情をして、大きくためいきをつく。
「おとうさんたちが成の事可愛がってくれてるから、戦国に戻れなくても良いかと思う時も有るんだ」
葉月はぼそりと言う。
「でも、やっぱり…悪いけれど…戻れるなら…その方法があるなら…戻りたい…」
小さくなる声に弥生も言う。
「わかってる。最終的にはこっちでなんとかするから、あんたは戻る事を考えて用意しておきなさい」
「うん。おねえちゃん、ありがとう。でも話しはしないとね」
そして、側へ寄ってきた成を抱き上げると葉月は立ち上がる。
「おとうさんとおかあさんに話すよ」
「私も行く」