第168章 三度目の夢の中
「…」
数瞬理解出来ず呆然としつつ、そして起き上がり自分の周辺を見回す。
弥生から預かり、印刷した紙束が手元にあり、それを急いでめくる。
「…夢だけれど、事実だったのか…」
途中で見付けた佐助との式の違いが、全て自分の字で訂正の式が書き込まれていた。
そして、富弥に見せていたボールペン。
手元にどう探しても、見つからなかった。
「あいつにボールペン持って行かれたな…」
富弥も目が覚めて、紙束の他にボールペンを握っていたら、さぞ驚いているだろうな。
もしかしたら佐助や舞といった、現代から飛んでいった彼等に聞くのだろうか。
富谷はちょっと苦笑すると、自分自身も体験した不思議な事と、そして計算式について渡す必要がある、と弥生へメールした。
しばらくして弥生から返信があった。
『私は大丈夫だけれど、富谷くんは相当疲れていたようで、家でゆっくりしたほうが良いんじゃないの?』
『ありがとう、一晩寝たから大丈夫。それに会える時に弥生さんを食べておきたい』
『ばか、そんな事ばかり考えるのやめなさい』
弥生からの返信にくすりと笑って、とにかく今夜会って、富弥との事を話し、計算式を渡すのが重要で、自分達の事はその後だ、と富谷は着替えを持ってシャワーを浴びに部屋を出た。