第165章 ビデオ撮影
ビデオ撮りに熱中していた父親は、柱がある事に気付かず、頭をぶつけた。
「…!」
音に気付いて、母親と葉月は廊下を覗くと、頭を押さえて座り込む父親と、そのまま進む成のお尻が目に入った。
「あら、おとうさん、もしかして頭をぶつけた?」
「ああ…柱の事を忘れていた…」
頭を押さえつつ父親は痛そうに顔を歪めて答えるが、しかしながら、ぶつけて痛くてもビデオはちゃんと成の方向を向けていた。
「ちょっと成、どこ行くの」
その間に一人で進む成に葉月が声を掛ける。
「ほげほげ」
急いで葉月が追い掛けると、脱衣所まで移動していた。
「ちょっと成、ずいぶん冒険しまくってるねぇ、ほら、ごはんだよ」
言いながらひょいと成を抱き上げると、動き回りたい成は抱っこを嫌がる。
「ほげほげっ」
「ごはん食べてからにしようね」
台所に戻り、ベビーチェアに座らせ、エプロンをすると、ごはんだとわかり大人しくなる。
「はい、いただきます、しようね」
葉月が手を添えて、成の両手をぱちんと合わせて、いただきますをさせる。