第163章 成、ハイハイする
「成…あんた、もしかして、おとなが話している事、理解している…?」
三成とは少し薄いものの同じ紫の瞳を覗くと、成もこっちをじっと見つめている。
そしてにっこりと笑うと、三成そっくりの天使の笑顔が表れる。
「ほげほげほげ」
嬉しそうに手足をばたつかせる成に、もう一度聞く。
「ほげほげじゃなくて、あんた、おとなの言ってる事、理解してる?」
「ほげっ」
元気よく返事をし、葉月を見てにこにこする成に確信する。
『やっぱりおとなの言ってる事理解出来てる…三成様譲りの頭の良さが、あかちゃんの時から出ているって事だよね…』
「頭が良いのはわかったよ、成。それにしても…」
葉月はそっと下に成をおろすと、成は出来立てのハイハイでのそのそ動き出す。
「ほげっほげっほげー」
なにやら嬉しそうに言いながらハイハイをする成の姿に、葉月はしゃべるのも時間の問題だなと思い、言葉を覚え出したら、早いだろうな、と成を見つめる。
家具に頭をぶつけそうで、でも前を見ているのでちゃんと回避し、部屋の中をハイハイで動き回り、そして葉月の足元に戻ってきて葉月を見上げるので、葉月は成を抱き上げる。
「すごいねぇ、成。でもそんなに早くおおきくならなくて良いんだよ」
両脇に手を差し込み、ぶらんぶらんさせると、大好きな動きに喜びほげほげ言う成の姿は、あかちゃんなのに三成を小さくさせた姿を既に想像させた。