第163章 成、ハイハイする
いちおう注意をすると、返事らしきものがきた。
「ほげっ」
しかしながら、やはり、また、ゴンと鈍い音が聞こえ、途端に成の泣き声。
「ほげえええええ」
「あーやっぱり、またぶつけた」
抱き上げ、頭をさすると、泣き声が落ち着いてくる。
「あのねぇ、一体何度頭ゴンしたら気が済むのよ?本当におバカさんになっちゃうよ?」
「ほげぇ」
「普通のハイハイになったら顔を上げて動くかなぁ。早くお尻があがれば良いね」
泣き止んだところで下に成をおろすと、それを聞いたかどうか、ずり這いの姿勢からお尻だけを突き上げる姿勢をやり出した。
「ええっ?」
話しを理解していたのかと思わせる行動に、驚いたのは葉月。
見ているとお尻を突き上げ、両手を起こし、膝立ちの姿勢になり、しっかりとハイハイの姿勢を取る。
そして顔もあげ前を見て、両手と膝でゆっくりと成は動き出した。
「うわぁ、ずり這いから普通のハイハイになっちゃった…それにしても人の話し、理解しているような動きだぁ…」
呆然とする葉月に向かってハイハイし、葉月を下から見上げ、にっこり「ほげ」と笑う成に驚きつつ、葉月は成を抱き上げ、頬をすりよせた。