第161章 富弥について、話す
「えーと、富谷さん、伺っても良いですか?」
料理を注文したところで、葉月は早速切り出す。
「何だろう?改まって聞かれると怖いな」
くすりと穏やかに笑って富谷が言う、その顔を見て葉月は驚く。
『うわ、富弥さんにそっくりだ…名前も同じだし、なんでこんなに似てるの…』
富谷を見つめたままぽかんとしている葉月を隣で見て、弥生が腕をつつく。
「どうしたの?」
「あ…ううん、なんでもない…あの、富谷さん、変な事聞きますけれど、時代劇はお好きですか?」
突然葉月から時代劇は好きかと問われ、富谷は目を瞬かせる。
「時代劇?うーん、あまり興味無いかなぁ。今は忙しくてテレビを見る暇も無いしね」
「…そうですか…あの…でも、変わった夢を見ているって聞いたのですが…」
葉月が聞いてきた夢とは、先日弥生に言った、自分が着物を着てウエイターのような事をしていた事だろうか?
富谷はちらりと弥生を見ると、弥生は小さく頷いたので、その事かと理解する。
「弥生さんに言った、ウエイターみたいな事をしていたって夢の事かな?確かに着物を着て、お菓子やお茶を出している夢を見てはいるけどね」
それを聞いた途端、葉月はまた質問する。
「あのう、それって、いわゆる普通の今のようなお店ではなくて、何ていうのかな、赤い布を敷いた箱のようなところに座って、そこにお菓子やお茶を運んでくる、昔の茶屋みたいなところで働いている夢ですか?」