第160章 富谷に会う
「ああ、そうだよね、きっと暗い星までよく見えてるだろうねぇ、それだけは戦国時代へ行って見てみたいなぁ」
弥生は戦国時代の、暗い星々まで煌めく夜空を思い起こす。
「天の川も見える?」
「うん、見えるよ、本当に星空は綺麗」
ふと、葉月は遠くを見るような顔付きになり、思い出す。
『三成様に、星空を見ていたら、からだが冷たいと言われたっけ』
その後の行為を思い出して思わず俯く葉月だが、弥生は運転に集中した為、葉月がどうして下を向いたのか、そこまで聞かなかった。
待ち合わせ場所の病院の前で、富谷はポケットに手を入れて立っていた。
「お待たせ」
弥生が運転席からからだをねじって、後部座席に乗り込む富谷に話し掛け、葉月も後ろを向いて、富谷に挨拶する。
「富谷さん、こんにちは。出産の時は本当にお世話になりました」
「ああ、葉月さん、無事に出産出来て良かったですね。今日はおこさんは?」
「母が見てくれてます。あっという間におおきくなって、最近ずり這いを始めました」
「へぇ、もうそんなにおおきくなったんだ」
富谷は気が付くとそれだけ大きくなっていた子の様子に、それだけの日数も経っていたのだと気付き、自分と弥生の仲もあまり進展がないな、とふと、気付く。
車はいつも二人が行く店に到着し、三人は店内へ入り、また富谷が葉月に好き嫌いを聞きながら料理を決め、いろいろと注文をしてくれた。