第159章 重なった、時
舞は家康に言われ、それはそうだけど、と言いつつ、もう一言伝える。
「でも、頭ぶつけて三成くんがバカになったら困るでしょう?」
「…バカになったら、むしろ、めちゃめちゃな生活が正常になるんじゃないの?」
むしろ家康に言われ、舞が目をしばたたかせる。
「それより三成には、あんたと同じ時代から来た葉月が戻ってくれば、まともになるでしょ」
さらりと重要な事を言われ、しかしながら、舞はきゅっと口を引き結ぶ。
「ワームホールがなかなか開かないの…」
「…え?」
「佐助くんが計算してくれた式通りに、ワームホールが開かないみたいで、戻るに戻れないみたいんだ、葉月さん」
「…そう…」
二人の間がしばらく無言となるが、家康が再度口を開く。
「俺はそういう難しい事はわからないけれど、確か葉月の姉って人が佐助の代わりにやってくれてるんでしょ。だからその人を信じるしかないんじゃないの」
「うん…そうだよね…」
家康はそこまでの会話で、急ぎの所用があるから、と舞の前から去る。
「そうなんだよね、家康の言う通りだよ。葉月さん、どうしてるかな」
まさか戦国時代で、三成が柱に頭をぶつけた原因を葉月が作っているとは知らず、三成や現代に戻ったままの葉月を心配する舞だった。