第158章 離乳食
ごちそうさま、と聞いて、成は抱っこされたまま、にっこりする。
「ほげほげ」
成をおろし転がる間に、葉月は服を直す。
「成、そんなに勢いよく転がってると、また頭ぶつけるよ?」
葉月に言われて動きを止める成ではなく、結局また頭をゴンとぶつけて泣く。
「ほげえええええ」
「あーあ、ほら、言ったでしょ」
葉月を抱き上げ、ぶつけたところを擦りながら、言う。
「痛いの、痛いの、飛んで行けー成のおとうさんのところへ飛んで行け―」
繰り返すと、痛いのを忘れたように、成はきゃっきゃっと笑い出した。
『どこかの柱に頭ぶつけてたりして…三成様…』
葉月は想像するが、それが現実になっていた事は、さすがに葉月にはわからない。
三成も現代で葉月が『痛いの飛んで行け』をやったせいで、自分が柱に頭をぶつけたとは勿論気付いていない。
「成、そろそろハイハイ出来そうかな?」
笑う成が足をぴょんぴょんさせ、その力強さにハイハイまで覚えたら、更に移動が早くなるな、と動くのが大好きな成を追い掛けるのを考え、小さくため息をつく葉月だった。
やがて、その通り、足をもそもそさせていた成は、ずるずるとずり這いを始める。
お尻があがっていないものの、とにかく腕と足でずるずると、うつ伏せのまま匍匐前進のように動き出し、まだ早く動けない事から怒りながら動いていた。