第156章 成の成長
恥ずかしそうに葉月は謝るが、医師は笑って言ってくれた。
「気にしないで、こういうのも小児科医師は個性がわかって面白いんだ」
「…はぁ…」
葉月は礼を言って診察室を出て、そして小児科を出る用意をするが、泣き疲れた成はベビーカーに乗るのを嫌がり、持ってきた抱っこ紐でおんぶをし、空のベビーカーを葉月は押して帰る。
成はおんぶされ、すやすやと背中ですぐ眠りについた。
「これだけの注射嫌いって三成様のせいかな…私はここまで嫌いじゃなかったらしいし…」
母親から聞いた自分の赤ん坊の頃は、成ほど注射は嫌がってなかったらしいので、ここまでの嫌がりかたを三成のせいにする葉月だった。
『あ、でも、戦国時代には注射は無かったか…じゃあ、ただの怖がり…?』
家に戻ると、ひと眠りして元気になった成は、またころんころんと寝返りしながら移動する。
転がりすぎてとうとう家具に頭をぶつけ、痛くて一瞬置いてから泣き出す。
「ほげえええええ」
「ああ、ほら言ったじゃない、頭ぶつけるよって」
葉月は成を抱き上げてぶつけたところを擦ると、成は何故か怒る。
「ほげっほげっ」
「えー、もしかして家具がこんなところにあるのが悪いって言ってる?」
「ほげ」
葉月の言葉に同意する成だった。