第156章 成の成長
小児科へ到着し、母子手帳や診察券などを提出し、体温を再度測って呼ばれる。
「上杉成くん、はい、今日も嫌いな注射だね」
「ほげほげ」
医師がにこにこしながら言うと、成は怒って言い返す。
葉月は成を抱っこして座り、片腕を医師に向けると簡単な診察をした後、医師が注射針を出す。
途端、成がそれを見て怯え、ぎゃんぎゃん泣き出す。
「ああああ、成、落ち着いて。すぐ終わるからっ」
葉月が顔を医師のほうへ見せないように隠し、医師はその間に接種する。
「ほげえええええ」
成は泣きながら叫び、しかしながらその様子が周囲には面白く見え、看護師たちがくすくす笑っているのだった。
「はい、終わり」
医師がすぐ終了と言い、葉月も成に話し掛ける。
「ほら、成、落ち着いて。終わったよ、もう大丈夫だよ」
「ほげえええええ」
終わったとわかり、更に泣きながら怒る成に、医師まで吹き出した。
「いやあ、ここまで注射が嫌いな子は初めてだな」
「もう…うるさくてすみません…」