第153章 誘い、誘われ
「弥生さんが良ければ…また俺としてはお付き合いいただきたいのですが…」
どうしよう、と思いながらも食事は同意する。
「その後はわからないけれど、ごはん食べるのは良いよ」
「…じゃあ、その気になってもらえば良いんだね」
富谷の言葉に、弥生はくすりと笑みをこぼす。
「どうにか強引に持って行くんでしょ?」
弥生の笑みを含んだ言葉に、富谷も軽く笑いながら言う。
「わかってるね、弥生さん。俺としては既成事実を作ってでも、結婚して欲しいからね」
「だからさ、どうして私なの?私、バリバリの理系おんなだよ?全然家庭的じゃないよ」
弥生は先日も話した事を繰り返す。
「そんなの関係ないでしょ。それに弥生さんなら家の事も医院経営も両立出来ると思ってるからね」
「ずいぶん買ってくれてること」
ふぅとため息をついて弥生は言う。
「ま、明日も先日と同じ場所での待ち合わせで良い?」
弥生が聞くと、富谷はお願い、と了承してきて通話を切る。
「呑気にごはん食べて、おとこと寝てる暇なんて無いんだけどね…」
パソコンのずらりと式が並んだ画面を見て、ぽつりと弥生はつぶやく。
「よし、もう少しがんばってみるか」