第152章 日々を過ごす
『おとうさんとおかあさんには悪いけれど、戦国へ戻りたいんだ…私は…』
しかし、弥生からはなかなか良い回答が戻ってこない。
佐助から聞いた式を分解して、組み立て直したりしているようだが、思った成果はあがっていないようで、時々葉月が進捗を聞こうものなら、イライラした様子を見せる事もあり、葉月も遠慮して弥生に聞きたくても聞ける状態ではなかった。
「ただいま」
弥生が仕事から帰宅する。
「おかえりなさい、ごはん食べる?」
「うん、お願い」
玄関を通る時に声を掛け、葉月が台所で食事を温め、食卓へ運ぶ。
今は成の面倒を見て家に居る事から、家事は葉月が主にやっている。
母や今は居ない祖母から家事は教え込まれているので、弥生も葉月も一通りの事は出来るが、どちらかというと葉月のほうが家事は得意だった。
「いただきます」
用意された食事を静かに食べ始める弥生に、無言で葉月はお茶を出す。
お茶を出した時にふと思い出す。
『そう言えば、夕餉の後に、三成様にお茶を出して、こういうの良いですねって言われたなぁ…お茶を飲んだ後、三成様の胸の中に引っ張りこまれたんだっけ…』
その時を思い出し、葉月の目から涙が流れ、その顔を見られまいと葉月は自室へ急いで戻る。
部屋へ入った途端、葉月はその場に座り込む。