第151章 心を伝える
舞の言う内容に、信長はと胸を突かれたように一瞬戸惑いを見せ、しかし、すぐいつもの様子に戻り、にやりと片頬に笑みを浮かべて言った。
「その貴様の言い分では、俺に惚れたから元の時代に戻らずこちらに戻ってきた、と言っているようではないか」
信長の言に、舞は頷いた。
「はい、そうです。私は…信長様を愛してます」
最後の言葉は震えていたものの、目線を信長に合わせ、きっぱりと言う舞に、信長は目を見開いた。
「ほう…俺に惚れた、と」
「…はい」
「…では、このまま俺に夜伽しろと言ったら?」
信長の眼差しが舞の表情の変化を逃さじ、と見つめる。
舞は片手をぎゅっと握り、夜伽の意味に気付き、しかしそれは愛のあるものではない事をわかっているので、大きく何度も深呼吸し、自分の感情の荒れを隠すように息を整え、ようやく答えた。
「それが…信長様にお応えする手段であれば、喜んでお相手致します」
「愛が無くても構わぬと申すか?」
言っている意味がわかっているのか、と信長は問いただす。
「そんなのわかって…ます。でも、私は信長様を愛してしまいました。
だから…信長様に愛が無くても、私から信長様に愛を渡せます」
震えながらもきっぱりと答え、更に全てを包み込んだ穏やかな笑みすら浮かべた表情で、舞は信長に言う。