第19章 軍議の後
政宗が問い、秀吉が答える。
「前のはあんずがごろりと固まりで入ってたが、これは細かくして混ぜ込んでる。
食感が違う」
「秀吉のところは、面白いものを作るやつがいるんだな。
朝餉の事といい、なかなか参考になる」
政宗が切り分けた羊羹を見ながら興味深い表情をする。
「朝餉の事とは?」
政宗の言葉を引き取って、光秀が尋ねる。
「本を借りる為に今朝、秀吉のところに行って、朝餉も摂ったんだが、明らかに味つけが今迄と違っていたんだ。
だから秀吉のところの台所番が変わったんじゃないかと思ってるんだが、秀吉は変わってないと言うし、一体じゃあ、誰が作ったかと考えてるところだ」
政宗が説明する。
「でも、誰が作ったかは置いておいても、美味しいのをつくる人には間違いないね」
舞が笑顔で言うと、その通りだという結論になった。
「私もお料理上手になりたいなぁ」
そういう舞に、政宗が、俺が教えてやるよ、と話し掛けていた―