第19章 軍議の後
そして、お茶の支度をしてもいいかな、と舞が部屋へ入ってきた。
「おつかれさまでした」
舞の明るい笑顔に、軍議中に見せていた武将達の厳しい表情が和らぐ。
「秀吉さん、このお菓子、いただいた羊羹だよ」
舞に言われ皿を見ると、確かに先日口にしたのと同じものが載っていた。
「秀吉さん、なんです、これ?」
怪しげなものを見た、と言わんばかりの表情をして、家康が尋ねる。
「羊羹だが食べてみれば、わかる」
「…いただき、ます」
甘いものが苦手な家康は、仕方無しにほんの少し黒文字(くろもじ)で切り分け、口に運ぶ。
「…?何か…入ってる?」
家康の眉をひそめた姿に、政宗が自分の皿を取り上げ、羊羹を口にする。
「…あんず、か…」
すぐ政宗は何が入っているのか気付く。
舞と他の四人も揃って切り分け、口にする。
「ん。前のと違うな…」
秀吉が口にして言う。
「前のと違う、とは?」