第148章 ワームホール
「え…今、何て言った?おねえちゃん?」
葉月が問い直す。
「だから、何度、猿飛くんから聞いた計算式を代入しても、ワームホールが開かないの」
「だって…それ出てくれないと戦国に戻れない、のに…何が悪いの?」
弥生の言葉に葉月の表情がくもる。
「…それははっきり言ってわからない。教えてもらった通りにやっているはずなんだけど、でも、開く予定の日になって、その近くに行ってみたんだけど、全然表れないんだよね」
「まさか、もう、二度と開かない、って事は無い、よね…?」
葉月はおそるおそる聞く。
「それは本当にわからないよ。とにかく残してもらった計算式に、聞いた通りに数値を代入して計算しているのに、ワームホールの開く気配が全くないし、別に予測をしてみても、計算式立てても全く天候変わらなくて動きが無いんだよね」
参った、と言って弥生はパソコンのディスプレイを軽く叩く。
「でも、どうしよう、戻れないよ…私、成と三成様のところに戻りたいのに…」
「一時的なものかもしれないし、とにかくこれは続けていくから、落ち着いて。戻れるようにするのが私と猿飛くんの約束だから」
葉月を落ち着かせるために、言葉を尽くす弥生だが、見た事の無い計算式に開かないワームホールと、自分の計算方法が間違っているのか、と戸惑い、葉月以上に不安を抱えているのを、ただ葉月にその姿を見せないようにするのに精いっぱいだった。
「わかった、おねえちゃん、難しいとは思うけれど、おねえちゃんしか頼れる人がいないの。お願いだから途中で止めないで、私と成が戻れるように、ちからを貸してください」
葉月から頭を下げられてしまい、弥生は追い詰められた気分に陥る。