第147章 富谷と富弥
「そういや、おねえちゃんにワームホールの事を聞かないと。あと、富谷さんの事も。今日は遅いのかなぁ」
そのうち成は、またすやすやと寝てしまう。
成は今のところ扱いにくいところはなく、大人しいあかんぼうのようだった。
「性格まで三成様に似ているのかなぁ?ね、成」
成の寝顔を見て布団へ下すと、両手を、握ったまま顔の横へ置いてすやすやと眠る。
「小さい手…この手を広げたら夢が飛んで行くんだって…だから手を広げたら、そこから成の夢を探してそれに向かって生きて行く毎日が始まるんだよ…」
成の小さな頭をそっと撫でると、触られたのが嫌だったのか寝ているはずが、「ほげっ」と怒ったような声がした。
「あっ、ごめんね、成」
葉月は慌てて手を引っ込めた。
夜になり、弥生が帰宅し、葉月の部屋へ来る。
仕事を終えた両親も成を構いたくて、今は自分達の部屋に成を連れて行っていた。
「あれ?成、いない?」
弥生は部屋に入って開口一番に言う。
「おとうさんたちが自分達の部屋に連れて行ってるよ」
「…ああ、構いたいのね」