第146章 退院
葉月と成の退院の日、店をわざわざ休みにした両親が迎えに来た。
「成ちゃーん」
「なーるー」
バカ爺、バカ婆振りを発揮しながら部屋に入ってきた両親は、産着を新品のものに着替えた成を見て一騒ぎする。
「可愛いわねーおとうさん、写真、写真」
「お、そうだな、すぐ撮るぞ」
父親が取り出したカメラは最新式のデジカメで、葉月の見た事のないものだった。
「そのカメラ…もしかして新しいの?」
まさか、と思って聞くと、父親はにんまりして言った。
「そうだ、急いで電機屋行って買ってきたんだぞ。成を撮る為にな」
そうしてバシバシ写真を撮りまくる。
「デジカメだから気にいらない画像は消せるからな。あーでもこうして見ると、どれも可愛くて消せないなぁ」
撮った画像を確認しながら父親が言うと、母親も言う。
「ビデオも新しいのを買ったのよ?今のは軽くて小さくてすごいわね。帰ったらいっぱい成ちゃんを撮りましょうね」
「ビデオまで…」
呆気にとられる葉月。
「当然チャイルドシートも買って、車に取り付けてあるからな」