第145章 おとことおんな
富谷の顔が少し離れ、富谷が言う。
「弥生さんのその顔、誰にも見せたくないな」
「…自分じゃどんな顔かわからないよ」
二人の間にひいた銀糸を手の甲で軽く拭き取り、弥生はつっけんどんに言う。
「俺のキスで蕩けた顔…このままホテルに連れ込みたいくらいだ」
富谷の性急なおとこの言葉に、弥生はさすがに心臓がどきりとする。
富谷の顔がまた近付き、耳元で囁く。
「弥生さん…」
耳のすぐ後ろから下へ向かって、富谷の舌先がゆっくりと舐め下ろし、弥生は声をあげる。
「ん…あ、ん…っ」
「良い、声、だな…弥生さん…どう?俺に抱かれない?俺は弥生さんを抱きたくてたまらない…」
「富…谷…くん…駄目…だ、よ…」
富谷の甘い攻撃に、弥生はぐらぐらする心を必死に立て直す。
が、富谷の片手が弥生の肩から滑り落ち、前のふくらんだところでとまり、包み込むように軽く揉み出す。
「弥生さん…俺に抱かれて…抱きたいんだ…ずっと貴女が好きだった…」
富谷の反対側の手が太ももを撫でまわし、弥生の思考がぷつりと切れた。
「…わ、か…った…」