第145章 おとことおんな
食事が終わり、会計は弥生が持つと言ったら、富谷に言い返された。
「妹がお世話になったから払わせて」
「いや、今日は俺が誘ったから、俺が出す」
「それじゃあ今日の食事の意味が…」
「じゃ、次の時に」
と強引に言われ弥生の手が止まり、その隙に富谷は会計をしてしまった。
「ちょ…富…」
あわてて追い掛け一緒に外を出ると、富谷が言う。
「また食事しましょう、会計はその時にお願いします」
仕方なく弥生は財布をしまって言った。
「ありがとうございます、ごちそうさまでした」
二人で車に乗り込み、弥生はシートベルトをする。
すると。
富谷の顔が何故か近いな、と思った瞬間。
キスされていた。
「ん…んん…」
宙に浮く手もそのまま富谷に捕まえられ、身動きが取れなくなり、富谷のキスが深くなるのを止められずに受け入れ、口内をうごめく富谷の舌遣いに、自分のからだのちからが抜けるのを、弥生は気付いていた。