第143章 待ち合わせ
葉月の代理で出生届を弥生は出しに行き、ふと見ると富谷から着信があった事に気付く。
車に乗り込みながら電話を掛ける。
「富谷くん?ごめんね、電話くれていたみたいで」
弥生がシートベルトをしながら謝ると、富谷から先日の食事の提案をされる。
「今日は空いてるので、急だけれどこれからどうかな?」
「あー、うん、わかった、良いよ。待ち合わせ、どこにする?」
「今、まだ病院で、これから出るんだ」
「車じゃないよね?だったら私、車だから迎えに行くよ。今、役所にいるから20分くらいでそっちに行くかな」
「え、そうなんだ?悪いね」
「気にしないで。えーと、駐車場には入らないから、入口付近で待ってもらってて良い?」
「了解」
簡単に待ち合わせ場所を決め、弥生はエンジンを掛けるとアクセルを踏み、車を発進させた。
『そういえば大学の同級生に、こうして会うのって初めてかなぁ…結構みんな忙しくて会ってないんだよね。早々に結婚しちゃった子もいるしさ。そういや富谷くんて、サークルの下級生たちからモテてたのに、何で結婚しないんだろ?医者と結婚したい子なんて掃いて捨てる程いるのにねぇ…聞いてみようかな』
ラジオから流れる音楽を流し聞きしながら、大学病院へ車を走らせた。
『いくらなんでも葉月がお世話になったし、こっちで支払いしないとまずいよなぁ。給料日前はきついけれど…しかたない、か』