第141章 うたた寝
「葉月さん、葉月さん」
どこからか懐かしい声がする。
「三成様、ほら、成ですよ!」
「ああ、私達の子ですね、私に似ていますか?」
「はい、三成様に似ています」
「ありがとうございます、私達の子を産んでくれて」
「どうして?当然でしょう?三成様」
「だって、私は最後に反逆者の汚名を着せられる者ですよ?」
「…何を言ってるの?三成様」
「私は将来、秀吉様のお亡くなりになった後、家康様と敵対して戦って負けて、敗戦の将として晒し首になる者ですよ」
「そんな事になりません!」
三成の姿がだんだんと遠ざかってゆく。
「三成様!」
「貴女はそちらの世界で、成を守ってください。私には出来ませんから…」
「何を言ってるんですか?」
「お元気で、葉月さん、愛してます」
「嫌…っ、三成様…っ、行っちゃだめ…」
葉月は消えゆく三成を追うが、三成の姿はすうっと後ろへ下がって消えていった。