第140章 成(なる)
「へぇ…早く目を開けた顔、見て見たいね」
弥生は三成とそっくりと聞いて、成の目を開けた顔を見てみたくなる。
「ああ、そういえば用意したもので、足りないもの、あるの?あるならこの後買いに行っておくけれど?」
「うん?うーん、特にないかな。あ、退院前になったら紙おむつが欲しいかも。サイズがまだはっきりしてないから、今はまだ良いよ」
「わかった。あと、はい、これ、書いて」
「なに?あ、役所に出すやつか。名前は成、ね、っと…」
「ついでにあんた、こっちではシングルマザーになってるから、その手続きも必要だよ」
「うわ、そうか、そうだよね。私、シングルマザーなのか…」
言われて気付く自分の状況に、やっぱり呑気な妹だな、と思う弥生だった。
本当は弥生は、ワームホールについて設定通り開かない事を伝えに来たのだが、今、それを言うと産後のからだに負担がかかりそうだな、と思い、言えずじまいとなる。
「そういえば、おとうさんとおかあさん、今日、来るの?」
葉月が聞くと、弥生は嫌な顔をしてはっきりと頷いた。
「絶対来るよ、休みだし。昨日の夜、大変だったんだから」
「何が?」
「もう、バカ爺、バカ婆ぶり発揮しちゃって、二人して自分の孫が一番可愛いって大騒ぎだよ。早く私にも見に行けってうるさいし」
それを聞いて葉月は苦笑する。