第137章 出産へ
大きく息をつき、全身のちからが途端に抜ける。
頭さえ出てくれば後は医師と看護師であかんぼうを取り上げ、後産の処置までしてくれるので、出産で疲れたからだを横たえたまま、呆然と分娩室を何とはなしに葉月は見回す。
「ほげ、ほげ、ほげぇぇぇぇ」
あかんぼうの力強い声が聞こえ、無事に生まれてきた事に葉月は気付く。
「うま…れ、た…」
ちから尽きてぐったりしながら葉月は思う。
きれいに沐浴されてからあかんぼうは、分娩台に横たわったままの葉月へ見せてくれる。
まだぺったりとくっついたほんの少しの髪の毛は何色かよくわからない。
目も閉じているので何色かわからない。
けれど、小さな小さなその顔は、三成の顔をはっきりと映し出していた。
「男の子でしたね」
「…はぁ、はい…ありがとう、ございます…」
疲れ切ってようやく声を絞り出す葉月。
そして内心思いを馳せ、心は戦国へ飛ぶ。
『三成様…産んだよ、あかちゃん…三成様に似てるんだから…早く見せたいな…』
なかなか計算が合わず、ワームホールが開く様子が無いと弥生が気付き、焦り出しているのも知らず。