第136章 開かない?
あっという間に三月が過ぎるが、葉月が戻ってこない。
ある時、佐助が舞の天井裏を訪問してきた。
「佐助くん、久し振り、いらっしゃい!」
「こんばんは、舞さん、元気そうだな」
佐助の少し笑みを含んだ言葉に、頷く舞。
「うん、すっかり元の生活に戻って、針子の仕事をがんばってるよ」
「そう、良かった。ちょっと話しがあるんだけど良いかな?」
改まった佐助に、舞が目を瞬かせる。
どうぞ、と舞が下におりて来た佐助にお茶を出す。
「ワームホールが出現しないんだ」
佐助が湯呑を持ったまま浮かない顔で言った事に、瞬間、頭がついていかない舞。
「それって…」
舞は言葉を失う。
「何度計算しても出てくるはずのワームホールが出てこない。下手するともう出現しないのかと思うくらいに」
「そうしたら葉月さん、戻ってこられないって事…?もう三か月も経ってるから、出産して戻らないなとは思っていたんだけど…」
「いつかはワームホールが消えておかしくはないんだけど、俺が計算している状況と違っているんだ。もしかしたら歴史が変わった事で、時空に何か起きているのかもしれない」
「それ、どうやって三成くんに説明しよう…」