第134章 佐助、春日山に戻る
二人が室内で鍛錬を始めた事に、幸村が仕方なく間に入る。
「はい、室内でやらないーやるなら外へどうぞー」
「はは、幸もせっかくなんだから楽しませてやれば良いじゃないか」
側に座る信玄は、佐助が未来の土産に持ってきた一口チョコレートをぽいと口に入れる。
「佐助!これ、美味いな!」
「…あ、それは、良かったです…」
謙信の刀を受け止めながら、佐助は信玄の言葉に応える。
「あ、あんた、食べ過ぎでしょう、そんなに食べたら…!」
幸村が信玄の食べっぷりに注意する。
「あ、信玄様、それ、食べ過ぎると鼻血出ます…」
クナイごと刀を押し返しながら佐助は言う。
「え?そうなのか?天女の前で鼻血はまずいぞ」
信玄は慌てて食べるのを止めて袋をしまいこみ、改めてチョコレートを包装する薄い透明なビニールを一枚広げて取り上げ、まじまじと眺める。
「しかし…これはどういうもので出来ているんだ?見た事が無いな…紙ではない、薄くて向こう側が見える…佐助、おまえの郷は不思議なものがあるんだな」
感心しながら言う信玄に、幸村も同意する。
「それはそうですね、これも初めて見た…」