第19章 軍議の後
軍議はいつも通りに進んだ。
終わりかけ、そろそろ休憩にするかという雰囲気になりつつあったが、光秀が終わらせなかった。
「秀吉、あの上杉の娘はどうしている?」
「上杉の娘…?」
秀吉と光秀以外が怪訝な顔をして秀吉を見る。
「どういう事だ、秀吉」
信長が鋭い声で詰問する。
「はっ。御館様が安土にいらっしゃらない間の事です。
城下の茶屋で狼藉を働く者が出まして、それを倒した娘がいるのですが、その者が上杉と名乗りました」
「狼藉者を倒したのが娘…?」
政宗はひゅっと軽く口笛を吹く。
「そんな暴れ娘、安土にいるのか」
「刀持った男相手に木刀振り回してたからな。
どうみたって腕に自信があるんだろ」
秀吉は政宗の問いに答える。
「…それで、そやつは今はどうしてる?」
信長の問いにはっと秀吉は向き直る。
「若い娘を牢に入れるのは忍びなく、我が御殿にて家中の者に見張らせております」