第133章 姉妹の心配
予定日が近づいてきて、帝王切開の日程も決まっている葉月だったが、ぎりぎりになって普通はほとんど動かなくなるおなかの子が、何故か頭を下に回してくれたので、帝王切開を急きょやめて通常分娩に切り替える事にした。
「もっと早く回ってくれれば良かったのにな…」
うらめしげにおなかの子に葉月は言う。
「ま、しょうがないでしょ。それに予防接種は受けてから、戦国に戻ったほうが良いよ?」
パソコンの画面を見ながら弥生は言う。
「これ全部受けてたら、一年かかるんだけど受けなきゃ駄目かなぁ」
予防接種の表を見て、大仰にため息をつく葉月に弥生は重ねて言う。
「駄目というより、命を守るため必要でしょ?流行り病とかで死んじゃうんだから」
「わかってるけどさ、一年は長いよねぇ…」
「とにかく、まず、産むしかないんだから、心を落ち着けて。産んじゃえばおとうさんもおかあさんも初孫だし、べた可愛がるのは目に見えてるよ」
「うん…とにかく今は産む事に専念するよ」
葉月はまだ浮かない顔をしている。
「ねぇ、おねえちゃん、おとうさんとおかあさんさ、孫見たら可愛いがってくれるかもしれないけれど、私が戻る時に連れていくから、そうするともう二度と会えないんだよね」
「そりゃそうでしょ。じゃあ孫だけ置いていく?」
「それは絶対嫌!」
「まぁ、出来るかどうかはわからないけれど、あんたたちがここにいる間にたくさんビデオ録って、いつか私が結婚してこども出来たら、可愛がってもらうから気にしない事だね」