第130章 残された二人
出産後、予防接種を一通り打ってからとなると、すぐには戻れない。
「葉月、あんた、産まれる子の予防接種どうするつもり?」
「え?予防接種?だって産んだら戻るから要らないでしょ?」
「ああ、やっぱり…」
弥生はため息をつく。
家に戻って、弥生は予防接種の事を話す。
ほぼ一年かけていくつものワクチンを乳児に打つのは、乳児の命を守る為。
スケジュールを見て、葉月はまた青くなる。
翌週にすぐ打てるものがあるのに、一か月は期間を設けないと他のが打てないものがある。
「ええー、これ全部やってたら一年は戻れないよね!?」
「でも、戦国時代だって全く流行り病が無い訳ではないんだし、医者も薬もろくにないのだから、病気になったらイチコロだよ?」
「それはわかるけれど…でもいつワームホールが開かなくなるかわからなくなったら困るから、やっぱり早く戻りたいよ」
「…仕方ない…産まれてから、それは考えるか…」
産まれる子を見れば、考えがまた変わるかもしれない、と弥生は思う。
「とにかく猿飛くんから計算式は聞いたし、ちゃんと戻らせてあげるから」
「おねえちゃん、絶対ね、お願いだよ」