第128章 戻る
信長も満足そうに佐助に声を掛ける。
「ありがとうございます」
「あの…葉月さんは…」
三成が落ち着かない表情で二人に問う。
「それがね、今、現在、葉月さんは戻れないの」
「…どういう事ですか?」
三成がまゆをひそめる。
「えーとね、おなかのあかちゃんの問題なの」
そう言って、舞は逆子の事を説明する。
「…未来では頭から産めない時は、腹を切ってややを取り出すのか…」
家康が顎を親指と人差し指で挟み、考えこむ。
「切腹みたいなものか?」
光秀の問い掛けに佐助が答える。
「切腹とは違います。手術と言って、専用の道具を使い、麻酔と言って、薬を使って痛くないようにした上で行います」
「そんな事が未来では出来るようになっているのか…」
家康は更に得心するようにつぶやいた。
「つまり葉月さんは、おなかの子が今のままでは普通に産めない為、未来に残って産んでから戻ってくるという事ですか?」