第128章 戻る
佐助と舞が気が付くと、二人は懐かしい景色の中に居た。
「佐助くん…」
「ああ、無事に安土に戻れたようだね」
「年代は変わって…ないかな…」
せっかく戻っていても戦国に戻れていなければ意味が無い。
「あら?織田の舞姫様?」
声を掛けられそちらを向くと、市で働く町娘が風呂敷包みを持って立っていた。
「貴女…私がわかる?」
舞が恐る恐る問うと、娘はぽかんとした表情の後、くすくす笑いながら言った。
「嫌だ、何言ってるんですか?わかりますよ?舞姫様こそ妙なものをお持ちで何をしているのですか?」
「…ううん、何でもないの、お遣いなの?ごめんなさいね、引き留めて」
慌てて舞は娘に声を掛け、娘は首を傾げながらもぺこりと頭を下げて、包みを持って先を急いで行った。
「…佐助くん、無事に戻れたみたいだよ…」
「ああ、そうみたいだね。じゃあ安土城へ急ごうか」
「うん」
二人は安土城へ歩みを進める。
そして、目の前に懐かしい安土城が見えた。