第127章 戦国へ戻るふたり
佐助のワームホールについての計算式入力が終わり、弥生は仕事帰りに佐助からその式について指導を受け、戻る為の準備を着々と進めていた。
そんな中、ようやくワームホールが開く日時と場所が特定出来、佐助と舞はその日に合わせて全てのものを処分して戻る事を決める。
葉月は泣いて騒いだものの戻れない。
逆子が未だに直らず、戻っても外科手術の手段の無い戦国時代では、おなかの子と共に死しか待っていない。
「何とかならないの?」
弥生に掴みかかって葉月は訴える。
「仕方ないでしょう?今、戻っても死ぬだけだよ?
だったら次のワームホールが開くのを待って、産んだ子と二人で戻りなさい。
ワームホールの計算式なら猿飛くんから教えてもらったから、ね?」
「葉月さん、三成くんには伝えるよ」
「俺からも話しておくよ」
佐助と舞にも諭されて、葉月は泣く泣く二人を見送る事とするが、思いついてスマホに動画を録画して、舞に託す事とした。
「数回しか見られないだろうけれど、私の声と姿を届けて欲しいです」
葉月の真剣な表情に、舞は頷いてそれを持って行く事にする。
舞は仕事を辞める準備をし、マンションを引き払う手続きをする。
そして三成へ、と、葉月は佐助の構えるスマホに向かって、語り掛ける。
「三成様、お元気ですか?私はおなかの子がどうしてもそちらで産めない為、今回は戻れません」