第126章 姉妹の会話
「ん?ちょっと待って、そういえば病院でも言ってたね。豊臣家の養女になったって。
詳しく聞いてなかったけれど、どういう事?」
「だからね、私は町娘の位置づけだから、武士と結婚出来ても側室扱いになっちゃうの。
三成様は私を側室にするつもりない、って言ってくれて、秀吉様が信長様に聞いてくださったところ、信長様曰く、私が秀吉様の養女になれば、豊臣の姫として三成様へ正室として輿入れ出来るって言うから、そうなったの」
「織田信長…豊臣秀吉…石田三成…全員教科書に載ってる人物じゃない。そういう人とあんた会ったって事?」
「信長様には一度しか会ってないよ。冷たくてすごい威圧感のあるイケメンだったな。
それに普段、私は秀吉様の御殿に住まわせてもらってるから、秀吉様には時々会ってたよ。それで秀吉様は優しい笑顔のイケメンだよ」
「豊臣秀吉の御殿…」
「うん、そう。うちは上杉って名字でしょう?そのまま名乗ったら、捕まっちゃったんだよね」
「捕まった?」
「うん。織田信長と上杉謙信は敵対関係にあるから、上杉と名乗ったらスパイか何かと思われて捕まって、でも秀吉様のはからいで牢に入らなくて済んで、秀吉様の御殿に住まわせてもらう事になったんだ。疑いが晴れるまで見張られてたけれどね」
「はちゃめちゃな状況みたいだね…」
驚きつつ、もう、何を言えば良いのかわからなくなった弥生は、ようやく言葉を口に出す。
「でも、上杉の名字のおかげでむしろちゃんとした生活させてもらえたし、三成様と出会えたから結果として良かったよ」
逆子の事を忘れてにっこりしながら言う葉月に、思った以上の能天気さを覚え、こんなに性格変わるものかなぁと、弥生は首をひねって考えてみたが、結論は全く出そうになかった。