第124章 3対1の密談
「え…どういう事…?」
弥生は無知すぎる葉月にげんなりしつつ、しようが無いと説明する。
「普通赤ちゃんは頭から生まれるの。何でかって言ったら、頭が一番大きいパーツだから」
「それは知ってる」
「逆子だと足や手から出てくる事になって、そうすると変な体勢になって、産道を通れないんだよ。だから逆子が直らなければ帝王切開でしょ。戦国時代には帝王切開どころか外科手術なんて技法ないからね。葉月のおなかの子の逆子が直らなければ、産んでからじゃないと戻れないよ」
「ええーっ!」
葉月が叫ぶ。
「あんた、そんな事も知らないの?どれだけ呑気なのよ。とにかく先生に言われた通り、横向きで寝なさい。おなかのあかちゃんが回転して直る可能性があるから」
「うん、わかった、そうする」
真剣な顔をして葉月は頷いた。
弥生は大きくため息をつく。
『葉月ってこんなに呑気だったっけ?自分が妊婦なのにどうしてわかってないのかしらん…』
家に着いて、二人はそれぞれの部屋に入る。
葉月は電気もつけず暗い部屋の中、三成の文を取り出し、窓際で文を広げる。
街灯でほの暗いながらも字は読める。
葉月は読み直しながら、早く会いたい、と三成を想い、文を胸に抱き締める。