第124章 3対1の密談
「簡単に言うと『葉月さん、現代に戻っても元気でいますか?葉月さんに会えなくて寂しいので、必ず戻ってきてください。私達の子も元気で育っているでしょうから、会えるのを楽しみにしています』って事ですね」
弥生は文を借りて眺める。
現代では使われないくずし字をわかりやすく書いたと言っても、やはり弥生には何だかわからず読めない。
それをこれならわかりやすいと言って読んだ葉月に、あっさり読んだ佐助と舞、何より今時一枚の紙に筆で書くなぞまず考えられない手紙に、三人が戦国時代に居たのは本当なのだ、と弥生は否が応にも理解するのだった。
「…あなた達、本当に500年前の時代に居たのねぇ…」
ふぅと大きくため息をついて、弥生はコーヒーを口に運んだ。
「猿飛くん、次に戦国時代に戻るのはいつぐらいなの?」
弥生が問うと、佐助は日本茶の入った湯呑みをテーブルに置いた。
「約3か月後ですが、毎回計算し直さないとならないのではっきりとは言えません」
「わかった。とにかく、こうなったら協力しましょう。
三人とも戦国時代に戻りたいのでしょう?
猿飛くんと舞さんはとにかく現状、やらなくてはならない事をやる。
葉月は3か月後だとぎりぎり産み月だから、産んでから戻るか産む前に戻るか、と言ったところだね」
「おねえちゃん…」
「しようがないでしょう。石田三成の直筆の文まで見ちゃったんだから。協力するわよ。
猿飛くんの失踪の理由もわかってしまった事だし…
あ、そうだ、猿飛くん、おうちに手紙を書いて説明しておいたほうが良いんじゃないの?
適当なところから投函しておいてあげるから」