第124章 3対1の密談
「そういう訳にはいかないよ、舞さん」
「気にしなくていいよ、お部屋はふたつあるから」
佐助が断っているのは、現代に居る間、舞の借りているマンスリーマンションに佐助も一緒に住んで良いよ、と言われている事。
さすがに婚礼前の女性の部屋にいるのは、と佐助はちゅうちょしている。
しかし、正直言って一緒に住まわせてもらえるのはありがたい。
「佐助さん、実家には戻れないって言っていたじゃない」
葉月も先程、佐助が言った言葉を舞に教える。
「舞さんがうちに来られれば良いのだけど、うちも両親がなぁ…」
今も出産で揉めている葉月はため息をつく。
「産んでしまえばご両親もきっと可愛がってくださるわよ」
くすっと笑って舞は言う。
「初孫なんでしょう?なんだかんだ言ってもきっと可愛いって取り合いになるわ。
それに相手はあの三成くんなんだもの、絶対可愛い子が産まれるよ」
「そうですかねぇ、父とはずっと、くちも聞いてませんからね」
むすっとして葉月は言う。
結局姉の弥生のおかげで自宅にいる葉月なのだが、弥生が日中仕事で居ないと、両親がぐだぐだ言ってくるのが嫌で、一人でこっそり舞のマンションに避難していると打ち明けた。
「だから佐助さんがこちらに居てくれると、私も話し相手がいて嬉しいんですけどね」