第17章 朝餉
「失礼します」
襖をすらりと開け、いつものように三成が入ってきた。
「お、三成来たか。今日はこっちを頼む」
三成は秀吉の部屋に入ると、政宗の姿を見掛けて声を掛ける。
「かしこまりました…政宗様もこちらでお仕事ですか?」
「ははっ、そう言いたいところだがな。
ここにある本を借りに寄っただけだ」
政宗は青い瞳を細めてにっと笑いながら、手元の本をごく軽くポンと叩いた。
「勝手に持っていってくれ。
ああ、その前に朝餉を女中達が用意してるだろうから、政宗も食べていくと良い」
「お、そうか。じゃあ、そうさせてもらうかな」
すぐに朝餉の膳が三つ運ばれる。
政宗と三成がいることで、誰が運ぶか女中達で揉めたようだったらしく、運んできた女中達は皆、高揚した表情を見せていた。
三人で食べ始めると、政宗がふぅんと意外そうな声を放った。
「どうした?政宗」
「この酢の物、塩っ気少ないな。
でも出汁が効いてて味はしっかりついてなかなかだ」
「どれ?」
秀吉もその酢の物を口に運ぶ。