第122章 佐助、現代に戻る
一気に詰め寄ってまくしたてる葉月に、佐助は驚きながらも、二人が一緒にすぐ見つかった幸運に胸をなでおろす。
「舞さんはどこに居るの?」
「本当は東京の出身だけれど、佐助さんを待つからって、この近くにマンスリーマンション借りて、仕事見付けて働いてる。夕方に仕事が終わったら会えるよ。
それで、佐助さんは、この後どうするの?」
「ああ…実家は割と近いんだけどね、きっと行方不明扱いになってるだろうから、下手に戻れないんだよね」
「あ、そうか、おねえちゃんが言ってたっけ」
「?」
「私の姉がね、佐助さんが入った研究室を入れ違いに卒業した人なの」
佐助はそれで納得する。
「わかった。葉月さんのおねえさんって上杉弥生さんだね?」
「そうそう、知ってるの?」
「以前研究室に、お店のお菓子を持ってきてくれた卒業生がいたんだ。
それに上杉姓の女性は、研究室に一人しかいなかったからね、名前は知ってる」
「ああ、そうなんだ。あ、いけない、私、産科へ検診に行くところなの」
「おなかの子の事?」
「うん、もうね、おとうさんとおかあさんから、名も言えないおとこのこどもなんか許さんってすごい喧嘩になったの。でもおねえちゃんが説得してくれたのと、ぎゃーぎゃーやってるうちに堕ろせる月を過ぎたから、産める事になったんだ。
あ、佐助さん、そうしたら舞さんのおうちに行ってる?」