第122章 佐助、現代に戻る
その看板の示す場所へ佐助は行き、和菓子屋を見付ける。
「あれ、このお菓子…」
佐助はその店の看板と言える菓子を見て、どこかで見た事が有る、と頭を巡らせる。
しばらく考え、思い出す。
「そうだ、研究室を俺を入れ替わりで卒業した先輩が、この菓子を持ってきてくれて、みんなで食べた事が有ったっけ…」
では、その先輩は、この菓子屋と何か関係があるのだろうか?
佐助はいつまでも店の前に立っていると怪しまれると、その場を離れ、少し離れた場所からしばらく店の様子を見る事にした。
客と思しき人達で、店は人の出入りがなかなか多い。
すると店ではなく、店横の出入り口から出てきた女性が、どうみても葉月だった。
だいぶ大きくなったおなかを抱えて、佐助の居る方向へ歩き出したので、佐助は近くに葉月が来たところで声を掛けた。
「葉月さん」
葉月は足を止めて周囲を見回し、佐助が電信柱の陰からそっと姿を見せたのを見て、目をぱちくりさせて驚く。
「佐助さん…!こっちに戻ってこられたんですか…!」
「うん、さっき、ようやくワームホールが開いてね。舞さんも一緒なのかな?」
「舞さん?うん、一緒に戻ったよ。この町で佐助くんが来るの待ってるよ。
今度はいつワームホールが開くの?舞さんも私も戦国へ戻りたいの。
でもとにかく佐助さんに会えて良かった!」