第118章 幸村へ告げる
「俺が突拍子もない事を言っていると思うだろうけれど、これは本当の事なんだ。
俺と舞さんは未来から来たと信じて欲しい」
「いきなりそう言われても…でも佐助がそう言うなら、それを信じる」
「ありがとう、幸村」
「それでなんで突然、500年後から来た事を言い出したんだ?」
幸村の問いに、佐助は真剣な表情をした。
「この後出来るワームホールで、俺は一度現代に戻る」
「…は?」
幸村は突拍子もない発言を繰り返す佐助に、驚きの返事しか出来ない。
「舞さんが現代に戻ってしまったんだ」
「…舞が?どこに?」
「だから現代。もともと居た時代に戻ってしまったんだ」
「それ、自分から戻ったんじゃないのか?」
「いや、違う。ワームホールに連れて行かれたんだ。だから俺はそれの発生日時を計算して、次に出る時に現代に戻って舞さんに会ってくる。
そして戻るつもりがあるなら、一緒に連れて帰ってくるから」
「なんかよくわからない。でも舞が居なくなって、その居場所を佐助が知っていて、連れ戻しに行くって事なんだな?」
「つまりはそういう事」
「それなら行ってこいよ。すぐに戻って来られるのか?」
幸村の問いに佐助は少しまゆを寄せる。
「いや、一度開いたワームホールは三月程しないと次が開かない。それもあくまで憶測だから、次の開く日時も開いた時から計算し直さなければならないんだ。
だから俺が居ない間、悪いが謙信様を頼むよ、幸村」
「うげ。信玄様だけでなく謙信様のお守りもか。早く戻ってこい、佐助」
幸村は心底嫌そうな表情をした。
『舞さん、葉月さん、一緒に居るだろうか?俺が迎えに行くから待っていてくれ』
佐助は計算出来た、次のワームホールが開く先を再度確認する。