第119章 事実を語る
「私は、戦国時代の本能寺の変の時に飛ばされたんです」
舞が話し出した。
「そこで織田信長の命を救った事で、安土城へ迎え入れてもらっています。
飛ばされた時一緒だった男性がいるのですが、彼は私より4年前に飛ばされていて、そこで命を落とす直前だった上杉謙信を助け、彼の許で生きています」
「織田信長…本能寺の変…上杉謙信…」
出てくる戦国時代の単語に、弥生は理解するのに精いっぱいだ。
「そこへ葉月さんも飛ばされてきました。
最初は名字が上杉という事で安土城の人達に怪しまれ、豊臣秀吉の御殿に預かりとなってました。でも誤解が解け、石田三成に一目惚れされ、愛され、豊臣の姫として石田家へ輿入れするのが決まったんです。
その前に葉月さんは妊娠しているのがわかったのですけれど、そんな中、私達は何かのちからによって、現代に戻されてしまったんです」
「…葉月が言った事と変わらない。って事はやっぱり本当の事…」
まゆを寄せて信じられないと言った表情で考え込む弥生に、葉月は言う。
「おねえちゃん、私、何が何でも絶対この子産むの。
おとうさんもおかあさんも堕ろせ堕ろせ、って言うから、一緒に居たくない」
「…石田三成って肖像画見るとおじいさんだよね…」
弥生は二人の話しを聞いて、何やらスマホをいじって画面を突き出す。
そこには石田三成の肖像画が出ていて、枯れた老人と言っていい人物が描かれていた。
「もう、これ、ニセモノ!こんなおじいさんじゃないよ!」
葉月は怒り出し、舞も頷いて言う。