第118章 幸村へ告げる
佐助は幸村の存在に今、気付いた。
「だいぶ前から来ていたが、おまえが何やら集中していたから待っていた」
「それはすまなかった…ようやくひと段落着いたよ」
「一体何をしていたんだ?この紙の山はどうする?」
幸村は呆れて佐助に聞く。
「ああ…これは片づけられると困るんだ…あと順番もあるし…」
左下隅に振られた数字は紙の順番を表しているらしい。
紙を集めながら手際良く佐助は紙の束を作ってゆき、やがて全部拾うとひもで軽くその山を縛った。
「よし、と。幸村、ちょうど良かった、話しがあるんだ」
「あ?」
「俺、実はこの時代の者じゃないんだ」
「…は?」
何を言っているんだ、と、ごく当然の反応を、幸村はした。
「信じられないとは思う。しかし俺は本当に4年前の謙信様を助けた時に、500年程後の時代からここに来たところだったんだ。
そして幸村も知っている、安土に居る舞さん、彼女も俺と同じ時代から来た人で、俺がここに来る時に巻き込んでしまった人なんだ」
「…は?」
幸村は更に何を言っているんだ、という顔付きになり、まゆを寄せた。