• テキストサイズ

イケメン戦国 「めぐり逢い」

第16章 出会い


餡は急いで前日のうちに炊いておいた。

朝早く起きて、葉月は御殿の台所の隅を借りて、あんず入り羊羹作りを始めた。

台所番の女中たちが集まる時間までに作り終え、冷ましている間に、葉月は朝餉作りの手伝いをした。

手伝い、と言ってもいつもは泥付き野菜を洗う程度だが、葉月にとっては井戸から水を汲むのも骨が折れる。

水は蛇口をひねるだけで出てくる生活から一変し、比較すると本当に重労働だ、と痛感する。

今日は羊羹作りで早くから台所に出ていたので、葉月は酢の物と汁物を作っておいた。

出来上がりを口にした女中頭の竹は、珍しいものを口にした顔で葉月の顔を見た。

「だ、ダメでしょうか…?」

「いえ。良いでしょう」

竹の顔にほっとした表情を浮かべる葉月。

この子は一体どういう環境で育ったのか。

竹は葉月の生い立ちに興味を持った。



井戸に来て、桶を落とす。

つるべを引き上げるが、これが慣れない身には、難しい。

井戸にへばりつくように水の入った桶を、おいしょおいしょと引き上げていたら、ひょいと急につるべが軽くなった。
/ 565ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp